2016
02.01

強発光する七配位ランタニド錯体を
European Journal of Inorganic Chemistryに発表!

研究紹介英語論文校正支援

強発光する七配位ランタニド錯体を<BR>European Journal of Inorganic Chemistryに発表!

研究成果概要

北海道大学総合化学院 先端材料化学研究室の柳澤慧(リーディングプログラムパイロット生)は、高い発光量子収率(※1)を示す七配位ランタニド錯体を開発し、研究成果をEuropean Journal of Inorganic Chemistryに筆頭著者として発表しました。この研究は将来の強発光性ランタニド錯体の設計指針になることが期待されます。


研究背景

ランタニド錯体は赤や緑の鮮やかな発光を示し、照明やディスプレイ等への応用が期待されています。指導教員である長谷川靖哉教授は、1996年にランタニド錯体の強発光化の指針を発表し、これまで数多くの強発光性ランタニド錯体を報告しています。強発光化のためには、錯体の金属イオンの周りに結合している原子を頂点にしたときにできる多面体構造の対称性を下げることが有効であることが明らかになっていますが、実際に多面体の対称性を下げるのは困難でした。


研究成果

リーディングプログラムの柳澤慧をはじめとする長谷川靖哉教授らのグループのメンバーは、ランタニド錯体の強発光化のために有効である幾何学構造の対称性を下げる指針として、金属イオンの周りに結合している原子の数(配位数)を下げることを試みました。具体的には、体積の大きな置換基(※2)を導入し、広く知られている八配位よりも配位数が一つ少ない七配位構造の錯体を合成することができました(図1)。これは、かさ高い置換基によってランタニドイオンの周りに他の分子が近づけないようになったためだと考えられます。合成した七配位錯体と従来の八配位錯体について発光の測定を行い発光量子収率を算出すると、七配位錯体は、八配位錯体よりも約10%強く光ることが確かめられました。

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本研究によって強く光るランタニド錯体の新しい分子設計の指針を示すことができました。七配位錯体の化学を進展させることによって、これまでの発光材料に取って代わる新規発光材料の開発に貢献できると考えています。
なお本研究は、総合化学院の武次徹也教授および伊藤肇教授のグループと共同して行ったものです。


論文情報

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研究論文名:Seven-Coordinate Luminophores: Brilliant Luminescence of Lanthanide Complexes with C3v Geometrical Structures (七配位の発光体:C3vの幾何学構造をもつランタニド錯体の優れた発光)

著者:柳澤慧、中西貴之、北川裕一、関朋宏、赤間知子、小林正人、武次徹也、伊藤肇、伏見公志、長谷川靖哉(北海道大学大学院総合化学院)

公開雑誌:European Journal of Inorganic Chemistry 2015 4769-4774(2015年9月7日Web公開)

DOI番号:10.1002/ejic.201500820


付記

本研究は文部科学省 科学研究費 新学術領域(領域番号 2401)「元素ブロック高分子材料の創出」より助成を受けて行われました。また、本論文の執筆にあたり北海道大学物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラムの「英語論文校正支援」を受けました。


用語解説

1) 発光量子収率:物質の発光効率を示す値。

2) 置換基:一般に原子の集合体のことを指し、分子の性質に影響を与える。

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