2016
03.22

27年度異分野ラボビジット
~12名のプログラム2期生が異なる分野の研究室に移籍~

異分野ラボビジット

27年度異分野ラボビジット<BR>~12名のプログラム2期生が異なる分野の研究室に移籍~

本プログラムでは、幅広い知識と考え方を身につける教育の一環として、異分野の研究室にて新しい専門的知識や技術を習得するために「異分野ラボビジット」を実施しています。自身の研究と異分野との関係性を考察して俯瞰力を養成する機会であると同時に、博士前期課程2年次の夏に行われる「Qualifying Examination 1 」の課題選択にもつなげることを目的としています。27年度は、12名のプログラム2期生が3週間~2か月程度の期間、異なる分野の研究室に移籍し、移籍先研究室が提供する教育研究内容に取り組みました。今回の活動報告では、2名のプログラム生のレポートを紹介します。

数学の厳密な思考に触れた異分野ラボビジット●
報告:リーディングプログラム2期生 A.W. 

私は生命科学院薬剤分子設計学研究室に在籍し、効果的に目的とする場所に薬物を運ぶ「乗り物」に着目して研究を行っています。その「乗り物」の作製過程を数学的に考察することができれば、今後の乗り物作製方法の改良などに役立てることができるのではないかと考え、理学研究院 数学部門の久保英夫先生の研究室に約1ヶ月間移籍し、分子の会合に関する熱力学的な取り扱いや物質の自己組織化について学びました。

27年度異分野ラボビジット2
写真:ストローを用いた自己組織化の実験の様子

数学分野では毎週全員がゼミ発表を行うのが一般的で、久保英夫先生の研究室でもそれぞれ自分のテーマに関するテキストや論文を基に、その1週間で理解した内容を黒板を用いて発表します。移籍期間中は、テキスト内容の理解が進まずギリギリまで発表内容がまとまらないなど苦労した時もありましたが、なんとか理解しようと様々な文献を当たったり、同じ院生室のメンバーに助言を頂いたりしながら発表にこぎつけました。ゼミ発表中には自分が気付かなかった解釈の仕方や論理の矛盾などの指摘を頂き、さらに理解が深まったと感じています。同時に、数学を学び続けることの重要性も痛感しました。数学は自然科学の基礎をなす学問であり、自分が理解して扱える数学が多いほど自然現象の理解は飛躍的に進むと感じました。さらに、論理的思考はどの分野であっても必要だと思いますが、数学の厳密な思考に触れたことは、自身の研究に必ず役に立つと実感しました。

27年度異分野ラボビジット3
写真:ゼミで発表する様子

[感想]
今回のラボビジットを通して、数式(数字)に対する抵抗感がなくなったことは大きな収穫だったと感じます。ラボビジット前に購入してあまり頭に入ってこなかった統計のテキストが、ラボビジット終了時には平易に思えるようになっていました。また、普段関わることのない数学専攻の友人が増えたことも個人的に大きな収穫でした。数学分野の大学院生の感じていることや考え方、その文化を知ることができたことは非常に新鮮な体験になりました。今回の経験を今後の研究に役立てていくと共に、今後も少しずつでも数学の学習を続けていきたいと思います。異分野ラボビジットにあたり、多くの時間や手間を割いて親切にご指導くださった久保英夫先生をはじめ同研究室の皆様、黒田紘敏先生に深く感謝申し上げます。

分子への多角的なアプローチを学んだ3週間●
報告:リーディングプログラム2期生 M.B. 

新たな反応開発及び分子設計において、分子への多角的なアプローチに基づく理解が重要となります。私は普段、生命科学院有機合成触媒研究室に在籍していますが、異分野ラボビジットでは分子へのアプローチの仕方が異なる理学研究院 化学部門 錯体化学研究室に3週間移籍しました。参加にあたり、異分野での新しい専門的知識及び技術の習得、並びにその分野の研究動向の把握に努めるとともに、移籍先研究室で培われてきた経験的な知恵や感覚を学ぶことを目標としました。

3週間の滞在を通じて、研究分野を理解するための素地を作ることはできたように思います。具体的な研究の流れや使用する測定機器から、研究の志向や動向まで、浅くではありますが幅広く学ぶことができました。今後は、論文や書籍を読むことを通じて当該分野を深く理解できるよう努めたいと思います。その際、有機合成の分野から何ができるか、こんな物性や選択性の発現は期待できないだろうか、あるいはどんな応用の形が考えられるだろうかといった問題意識を持って、研究提案につなげられるよう努めていきたいです。

27年度異分野ラボビジット5
写真:ラボビジット期間中にデザインしたガラス器具。グローブボックスに頼らないで気液拡散や液液拡散などの再結晶が行えるよう、窒素ラインで置換して使用する。

[感想]
単結晶を取る作業は、トレジャーハンターがダイヤモンドを採掘するようなワクワク・ドキドキの感覚を伴う楽しい経験でした。本来、この作業は研究の積み重ねの中で培われる直観のようなものが必要とされるため、短期の滞在の中では簡単に学べるようなものではありません。けれども、今回2名の博士課程の先輩の全面的な協力を得て、その一連の過程を見せていただくという貴重な体験をすることができました。先輩方は質問に対し一つひとつ丁寧に答えてくださっただけでなく、言葉にし難い結晶状態の微妙な違いを、絵を描いたり、様々なサンプルを実際に比較したりすることで、わかりやすく教えてくださいました。惜しげもなく指導をしてくださったお二方と、このような機会をくださった加藤昌子先生に深く感謝しています。

◇参加した主なイベント◇
(雑誌会)
論文紹介
・分子内に2つの異なる発光部位を持つ錯体
・光増感剤上に担持した触媒による還元的水素発生
・混合原子価錯体のエレクトロクロミズム      等々
(研究相談会)
・研究室各人による研究報告
・報告者による3週間の研究報告
(歓迎会)
お好み焼き、たこ焼き  等々

報告:A.W.(リーディングプログラム2期生)
   M.B.(リーディングプログラム2期生)
構成:リーディングプログラム事務局

 

PAGE TOP